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トリスタンな夜

映画「トリスタンとイゾルデ」を見に行った。 つまらなかった。 なぜか?

毒を抜かれてしまっているからだ。 ワーグナーの音楽にはとうていかなわなかった。 歓喜の爆発、死への強烈な憧れ、夢、狂気、身が燃え上がるような欲情、ドロドロネチネチの快楽・・・、そういったものが抜け落ちている気がした。

まあ、世界観が分かっただけでもいいか・・・。

僕は夜が好きだ。深夜徘徊が大好きだ。 昼間は明るすぎる。 僕にはあまりにも生きづらい。

トリスタンは叫ぶ。 「昼!昼! 陰険な昼は 不倶戴天の敵、 私は昼を憎み訴える!」

昼間は秩序や規則で縛られている。 夜は、すべてが闇に溶け込む。

昼は理性、夜は感情、本能! 昼は秩序、夜は混沌、非合理、不条理! 昼は生、夜は死! 昼は覚醒、夜は陶酔、甘美! 昼は抑圧、夜は解放、自由! 昼は有限、夜は無限! 昼は平静、夜は狂気、野蛮、危険への愛!

イゾルデはいう。 「おお、降り来よ、 愛の夜を、 我が生きることを 忘れさせろ。 汝のふところに 我を抱き上げ、 現世から 解き放しめよ!」

憧れる・・・。 憧れる・・・。