天才がいた
「死と変容」 (その1)http://www.youtube.com/watch?v=s1YqQ-6CdXE&mode=related&search= (その2)http://www.youtube.com/watch?v=js5offApAAs&mode=related&search=
ここ数日、この人の演技にはまっている。 はじめ、こいつ頭狂ってんじゃないのぉ、と思った。しかし、何度も見ているうちに、私は彼が天才であることを理解した。こんなこと、普通の人ができるもんじゃない。みんながやらないことをするのが天才なのだ!
まず、顔がすごい。普通、こんなにも表情を豊かにできるもんじゃない。自分は、落語をやってるから、表情のコントロールがどれほど難しいか、すこしはわかっている。時に怒り、時に笑い、時に悲しみ・・・彼は感情の化身だ!彼の恍惚とした表情といったらどうだろう。こんなの、とてもできるもんじゃないよ!
それから、彼の演技力。私は、彼の演技を見て、西洋音楽が、まさに二元論の賜物であることを、再認識した。彼は、音楽の持つ二元性を全身をつうじて描ききっている!生と死、光と影、天使と悪魔、男と女、歓喜と絶望、狂暴と慈愛・・・私たちは彼の演技を通してそれらを追体験する。特に、トランペットとフルートの部分は特筆に価する。彼は、トランペットの主題のときは鬼神のように激しく怒り、フルートの主題のときは子犬のようないとしい表情でやさしさを表現する。私は、まねしようと思い、深夜、家族が寝静まったあと、一人で暗闇の中彼の演技をまねしてみた。しかし、私にはできなかった。次々と変化する楽想に私の身体はついてゆくことができなかった。
クラシック音楽が好きなやつなんて、みんなこんなやつなんじゃないか、と思うのは私だけではないと思う。みんな、頭の中で、彼の演技のような自己像を描いているのだ。かく言う自分も、そうである。音楽の終わり部分、全身が光に包まれる演技を見て、私はこの表現こそ、全世界のクラシックファンが頭の中で思い描いていることそのものだ、と心の中で叫んだ。音楽といっしょに悲しみ、喜び、燃焼し、爆発することこそ、私たちの快感なのだ。これがために、私たちはクラシック音楽を聴くのである。
みすぼらしい小さな部屋の中で 生気なく鈍い光にだけ照らされて 病人が床に付いている。 静かにひどく望みを失いながらも 死と闘って 今や疲れ果て眠りに沈む 掛け時計は低く音を鳴らし 今や君はくつろぎを感ずるだろう その薄明の静寂が 臨終の予感をさせている。 病人の青ざめた息は 哀調を帯びた微笑みを浮かべている。 人生の終わりに夢見ているのか 子供時代の黄金の時を ?
しかし間もなく死は許すだろう その生け贄に眠りと夢を。 無慈悲にも死は彼を起こし まったく新たに闘争を始める。 生の本能と死の力との ! 何と恐ろしい争いであろうか !— その何れも勝利を得られず もう一度静かになる !
闘争の疲れは逆戻りする 眠れない状態へと, 熱に浮かされて 病人は今や見るその人生を 一筆一筆その一枚一枚を 心の目に浮かべては消えていく, 子供時代の夜明けに先ず 愛らしく清らかで純真に輝いていた ! そして青年時代の向こう見ずな遊び— —その力を稽古し, 試していた— 男の闘争に成長するまで その闘争とは最良の人生の財産 今や熱く燃え上がる喜びと共に— 変容する毎に現れ出ずるものが より神々しく形作っている, これはただ強い衝動が 生を通して彼を導いただけ。 冷たく嘲(あざけ)りながら世界は 障壁の上に障壁を押しつける。 終わりは近いと信じる 彼に向かって「やめろ」と叫ぶ 「段をなして障壁を作るのを ! かまわずにより高く上にと !」 と, このように言い張り, よじ登った 聖なる熱望を諦めた。 ずっと前から求めていたもの 心の最も深い憧れをもって, 探していた—ああ ! そして見出すことあたわなかった それは明らかに又捕らえているにせよ 次第に増え続くにせよ 決して疲れ果てることなく 精神において完成することもない。 そこに死の鉄槌の 最後の衝撃が轟き この世の命を粉々にし 瞳を死の夜で覆う。
力強く鳴り響く 天空より ここに憧れ求めていたものが この世からの解放, この世の変容が !
アレクサンダー・リッター
ヘンタイだ。まちがいなく、こいつはヘンタイだ。
http://www.youtube.com/watch?v=jqeoOQiqv_0&mode=related&search=
http://www.youtube.com/watch?v=qfEHvYbekHU
http://www.youtube.com/watch?v=js5offApAAs&mode=related&search=(6分あたりから、おかしなことが起きる)
でも、クラシック好きなんて、みんなこんなやつなんじゃないかと思ってしまうのはぼくだけじゃないと思う。クラシック音楽入門に最適な映像。