EverClassic

空間が凍った

新国立劇場の「軍人たち」はヤバイ。 今まで見たオペラのなかで最も感動した。 しかも、その感動と言うのは、高揚感や爽快感の類いではなく、もっとグロテスクなもの、絶望感とか、そういう類いの、感動だった。 人を不幸のどん底にたたき付けて、踏みにじることに、今まで見たオペラの中で最も感動してしまう自分とはいったい何だろうか? そしてこのオペラを、国民の膨大な税金を投入して上演していいのか? 演出はいろんな解釈が可能だけど、これをみて、よし自分は思考して生きようと思う人は何人いるか?

大音量で流れる、女の叫び声、罵声、銃声、赤ちゃんの泣き声、血のドクドク流れ出る音・・・そして回帰する不協和音。

僕は月曜にこれをみて感動し、今日はS席を買って見た。しかし、この戦慄的感動はそれだけの価値があると思った。

僕の隣の席で事件が起こった。 僕の隣に、明らかに不審な男が座った。そして、第三幕が始まろうとしたとき、係りの人がその人に「チケットを出してください」と、万遍の笑顔で話しかけた。 男は言い訳をしたが、気が動転してるみたいで、なにがなんだかわからなかった。 結局、彼は係り員に連れてかれて、戻って来なかった。

人の不幸を観賞するのはなんて楽しいんだろう! えぐり出された人間性は、偽善を許さない。