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死の欲望は純粋に破滅を願う

新国立劇場でオペラ鑑賞

 「イル・トロヴァトーレ」

【指 揮】ピエトロ・リッツォ 【演 出】ウルリッヒ・ペータース

【レオノーラ】 タマール・イヴェーリ 【マンリーコ】 ヴァルテル・フラッカーロ 【ルーナ伯爵】 ヴィットリオ・ヴィテッリ 【アズチェーナ】アンドレア・ウルブリッヒ

【合 唱】新国立劇場合唱団 【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

歌手は4人とも素晴らしい。 誰か一人がよくてもこのオペラは意味が無い 対立があってこそ、成立するドラマ。

久しぶりに、イタリア臭さ満点のオペラを見る。 演出で、たえず亡霊に演技させることで、怖さを演出。 まるで、お化け屋敷のような不気味さ。

個人の運命や宿命に翻弄される、救いのない内容。 こんなの、なんの意味があるんだと思うけれど、 これは、人間だれしも持っている「破滅への欲望」 は尽きることはないということを示していると思う。

悲劇の快感はヴェルディに教えてもらった。 どうして、人の不幸はこんなに快感なのだろう。 あの「母さん、敵を取ったよ!」という不気味さに頬が緩む。

社会人になり、ドイツオペラよりもイタリアオペラが好きになった。 それは、ドイツオペラはなんだかいろいろ説明的で思考を促すのに対し、 イタリアオペラは感覚的で、感情的で、刹那的だから。

オペラに求めるものも、一時の日常からの逃避が目的になったので、 後味の悪いドイツオペラよりも、 後味すっきりカラッと晴れたイタリアオペラを感じるのかもしれない。