21世紀オペラの夜明け?メディアアートの最前線!初音ミクの歌うボーカロイド・オペラ「The End」を観た
いつかこんな日が来るかとおもったが、ついに来た!コンピュータで生み出された歌手がオペラを歌う日が。初音ミクが歌う、ボーカロイド・オペラ「The End」を観た。
世界初演ということで、これがこれからのオペラの主流になるのか、出オチになるのか、はたまた、オペラの歴史そのものが終わってしまうのか、ワクワクである。Youtubeに流れている予告は以下。
入り口には、本日のプリマドンナ、ミクさんの等身大フィギュアが置いてあり、みんな写真をとっている。この服は、このオペラのためにルイ・ヴィトンのデザイナーがデザインされたらしい。気合が入っている。
会場は、いつものオペラとは客層がまるで違う。若い!(*’∀‘人)
そして、目の前には初音ミクのTシャツを着ている気合の入ったひとまでお座りになっていた。記念に盗撮。。。(-_-;)
なんだか、今日はなにかが起こりそうな気がしたので、S席を購入。前から9列目のど真ん中。めちゃガチャいい席だ。
しかし、気づいた。オケがいない(´・ω・`)イーハトーブ交響曲のように、オケに合わせてミクさんが歌うことを想像していたので、意外だった。
音の振動を脳内に流しこむ音楽
序曲から前衛的。清らかな弦のうねるような響きに、電子音の不快音が遮るようにかぶさっていく。しかし、この程度では驚かない。いろいろとヘンテコナなものはそれなりに聞いてきた。
しかし、いやいや、えーっ!!ちょっと・・・((ヽ(;´Д`)ノ))ア
音がドンドンド大きくなっていく!!耳が壊れる!!アタマがシビレル。。
この音量でずっと音楽が進んでいくのだ。これは、驚いた。ウルサイを通り越して脳髄が壊れてしまう。生演奏以外では、この作品を味わうのは不可能だ。
しかも、この電子音が空気を揺らして、身体全身を直接揺らすのだ。まるでソレは、
ハードロック━(;゚д゚)━
爆音と表現してもいいかも。もう聞きながら身体がイカれてしまいそうだった。この音楽に合わせて、初音ミクが歌うのである。
数分間の歌(アリア)と間に挟まる会話(レチタティーヴォ)で話は進んでいく。歌はニコニコに流してもいいような5分程度の歌。ただし、先にも書いたとおり、音量がものすごいので、生演奏でないと無理。
美しい歌ではない。歌詞も病的。しかし、最後のミクの死ぬシーンはとても感動的だった。ここは、今までと比べ、ずっと素直な、ニコニコでも大衆ウケするような音楽と歌詞で、歌われる。
内容的にも、最も盛り上がる「死のシーン」なので、音、映像、内容的にも全てにおいて感動的。死の場面に対して、流れこむ怒涛の音と光の洪水。泣かなかったけど、泣きそうになった。もちろん、終始鳥肌が立ちっぱなし。これはS席を購入して正解だったとおもった。
デジタル3Dの映像美
舞台には、オルガンのような楽器を弾いているひとがいる。ただし、それは光によって効果的に目立たないように見える。歌手と伴奏という形式は、シェーンペルクの月に惹かれたピエロのようだ。
現代音楽とボカロの融合という発想がスゴい。初音ミクの月に憑かれたピエロ | EverClassic
目の前には、透明なスクリーンが貼ってあり、それにミクを映し出す。不思議なことに、それは生身の人間のような臨場感を感じる。デジタルアートはスゴイとおもった。
ミクが触手に絡まれたり、ミクのハナから体内に入って行ったりで、なんだかエログロ系。ミクがドラゴンに変身して、ものすごいスピードと音楽で駆けまわるシーンはとても力強い。まあ、音楽と同様、わけがわからない部分が多い。
死ぬとはなに?ということをテーマにした物語
ストーリーは、よくワカラなかった。ただ、わかりにくく演出しているようにも思える。言葉の並べた方も、普通の文法とは微妙に違っていたし。
ミクは、二重人格者のようにモノローグをする。ある日、死ぬとはなりかということを考え始め、その自問する過程が歌によって表現されて、フィナーレでは死んでしまう。それだけのお話。
うん、わけがわからない。テーマとして伝えたいことはなんとなくわかったけど、プロットのつながりがイマイチ。いきなり死んじゃうからね。ホームページには、
ここでは「死とは何か?」「終わりとは何か?」といった伝統的なオペラでみられる悲劇の構造を初音ミクを媒介にして現代に読み替えるという試みがなされています。
とあるが、伝統的なオペラだと、ここに必ず「愛とはなにか」が絡まる気がする。この物語には、愛はない。
これはなに?
スゴイものを観た。ショスタコーヴィチも裸足で駆け出すだろう。
これはいったいなんなんだ?クラシック音楽?映画?3D映像?ハードロック?トランスミュージック?いやいや、これは、
総合芸術、オペラである!( ー`дー´)キリッ。
これを表現するためには、オペラ以外の言葉が見つからない。映像美、音楽美、デジタルアートの最先端に触れた気がした。これは、総合芸術だ。なので、オペラだ。
21世紀オペラの夜明け
教科書的なオペラの歴史の分類方法はこんな感じ。
19世紀
ロマン派オペラ、庶民のオペラ。表現方法は、感情移入を招く甘い音楽。表現するところは、抗えない運命が招く悲劇。
20世紀
近代オペラ、社会派オペラ、表現方法は、無調音楽。表現するところは、社会が招く悲劇。
21世紀
時代はここまで来た。その表現方法は、音楽手法の進化を、表現する内容は、時代の感心を現してきた。そして、21世紀オペラである。
その表現方法は、
- デジタル、電子音 - バーチャルリアリティ(3D)
その表現するところは、
- 個人の内面的な感情が招く悲劇
だと思う。21世紀は個人の時代ときく。神や社会に帰属しないで、個人の可能性を元に生きていく。だからこそ、その帰属するところの信じられるものが揺らぐ時、悲劇が起る。無意識や夢なんかとも、相性が良いと思う。
最後に
自分もちょこちょこと、この分野の可能性については魅了されてきた。初音ミクもオペラ進出だ。ここから、オペラの歴史が進んでいってほしい。感触としては、大衆ウケするものではないため、微妙かなというところだけれども。。。
なにより、こういう作品が日本から生まれたというところがウレシイところだ。これはパリでも公演されるらしい。日本のカルチャーが世界に発信されることを、密かに応援したい。
初音ミクで部屋のオートメーション
MMDで落語をしてみる
今日のオペラ
渋谷 Bunkamura オーチャードホール。
渋谷慶一郎+岡田利規 新作オペラ公演「THE END」 世界初演作品
コンセプト:渋谷慶一郎、岡田利規 音楽:渋谷慶一郎 台本:岡田利規 共同演出:岡田利規、渋谷慶一郎、YKBX 出演:渋谷慶一郎、初音ミク 舞台美術:重松象平 映像:YKBX 音響プログラム:evala ボーカロイド・プログラム:ピノキオP テクニカル・サポート:筒井真佐人 プロデューサー:東市篤憲(A4A) 技術監督:伊藤隆之(YCAM InterLab) 舞台監督:尾崎聡 キュレーター:阿部一直(YCAM) モーションキャプチャー制作協力:松永康祐(九州大学大学院芸術工学研究院源田研究室) モーションキャプチャーモデル協力:安藤真理 宣伝物制作アートディレクション:吉田ユニ 宣伝物制作撮影:鈴木心