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[インバル・都響・マーラー9]感動しなかったマーラーの9番

インバルのマーラーチクルス最終回、第九をききにみなとみらいに行きました。

マーラー 交響曲第9番 ニ長調 指揮 エリアフ・インバル 東京都交響楽団 みなとみらい大ホール

先週の千人の交響曲は残念ながらいけなかった。 チケットはもっていたものの、事故に見舞われて断念した。

去年今年と、マーラーチクルスに通ってきたため、 この最終回はなんだか感慨深いものがある。

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マーラーの第九は比較的好きな曲だ。 とくに、第一楽章の諦めに満ちた包まれるようなやさしい曲が好き。

インバルの指揮は、派手。演歌。でもそこがよい。 第一楽章の冒頭からいきなりエンジン全開で、情念の渦を巻き起こす。

しかし、おかしなことに、 今日はこのメランコリーなメロディーをきいても感動しなかった。

メロディーの鳴らし方や響きをいいなと思うことはあるけれども、 曲の中に入り込んでいけない。

これはどういうことだろうか?!

今は、ジェイゾロフトという坑うつ剤を飲んでいる。しかも、100mg(摂取量Max)。

毎日こころ穏やかで、清々しい。心を落ち着かせる薬なので、まったりしてよい。 しかし、おそらくこの薬が効いているので感動しないのだろう。 前の自分ならば第一楽章のメロディーをきくだけで涙ぐんでたもの。今日は冷静な観測者だ。

そんな感じなので、第三楽章の七転八倒の曲も、冷静に受け止める。 みんな頑張ってるなーといった、覚めた目線。

まったく感動しなかった第4楽章

しかし、第四楽章は違った。

このマーラーの第四楽章というのは、フィナーレが盛り上がらないことで有名。 命が絶えるように音楽が静寂のなかに消えていく。 薬のせいもあるのか、とても不思議な体験をした。

感動いうものが、心動かす体験と定義するならば、この第四楽章はまったく感動しなかった。

瞑想状態、というのが適切だろう。

第四楽章で一番盛り上がるところからの、終焉に向かう音楽で異常な体験をした。

インバルは、変質的なまでに音楽を緊張させたあとで、ネチネチと弱音を出して音楽を進める。 だんだん消えゆくように、小さくなるように、音楽が進む。

自分の存在までもが消えゆくような、なにも感じないような、ホール全体が深い瞑想状態にあるような、 とにかく、不思議な音楽体験をした。

いつものいわゆる感動とはまったく異なる体験だと思う。 しかし、こんな体験は滅多にできない。

よい演奏会だった。