[新国・死の都・コルンゴルド] 衝撃のどんでん返し!しかしもっとも後味のよいオチだった
新国立劇場に、コルンゴルドのオペラ『死の都』を見に行った。
滅多に上演されないオペラ。予習なしで見に行ったが、期待以上の内容だった。
■指揮:ヤロスラフ・キズリング ■演出:カスパー・ホルテン
■キャスト 【パウル】トルステン・ケール 【マリエッタ/マリー】ミーガン・ミラー 【フランク/フリッツ】アントン・ケレミチェフ 【ブリギッタ】山下牧子 【ガストン/ヴィクトリン】小原啓楼 【ユリエッテ】平井香織 【アルバート伯爵】糸賀修平 【リュシエンヌ】小野美咲
コルンゴルド作曲 死の都 新国立劇場
音楽について
タイトルからして20世紀無調だろと勝手に決めつけていた偏見を覆し、 濃厚ロマンチシズムな音楽。
リヒャルト・シュトラウスの音楽をベースに、プッチーニとショスタコを混ぜたような音楽だ。
この作品は、コルンゴルド23才のときの作品らしい。 若気のいたりなのかわからないが、 山場における歌手の歌唱力の酷使さはかわいそすぎるほどに素晴らしい。 この作品が、どうして滅多に演奏されないのか、第二幕の幕切をきいて理解した。鬼畜的ロマンチシズム! でも、観客にとっては以下に歌手が苦しもうとも、そんなことは関係なく素晴らしい。
演出について
夢と現実が交錯する内容。どこまでが妄想で、どこからが現実なのかわからない。 そんな状況を演出で表現しなければならない。演出の腕の見せ所。
3幕を通じて、似たような舞台(=予算をあまりかけていない舞台)なので、やや単調ではあった。
しゃべらない死者のメリーの演出は、おもしろかった。 この演出は、演出家の発想というよりも、もともとの脚本の発想なのかな?
エッチな描写がところどころ現れる。性と聖の対比を強調させることが目的か?
脚本について
生と死、理想と現実、性と聖、理想と現実などなど、いろいろな対立が物語の中に織り込まれていて、 深読みしようと思えばいろんな解釈ができそうな内容。 自分は、タンホイザーと対比しながら第三幕を見ていた。
ほとんどが妄想なのか、それとも現実なのかの境界がよくわからないところも、見ていておもしろい。 すくなくとも、第2幕はすべて妄想だろう(妄想だろうという演出だった)
驚いたのは、最後のオチだ。 あらすじを知らなかったのが功を奏し、ビックリした。 まさかの天狗裁き的オチとは?!
オペラ的なオチではない。教訓めいている。悲惨な出来事を乗り越えて成長するという、ビルグンストなパターン。 しかし、今まで見てきた観劇体験のなかで、もっとも後味のよいものを感じた。こういうの、けっこう好きなので。
音楽も演出も最後は暖かく、心もとても暖かくなった。